BMW F10に12.3インチAndroidタッチスクリーンディスプレイをとりつけました。Retrofitというのでしょうか。Android 11/Snapdragon 662/メモリ6GB/ストレージ128GB品がAliexpressで$540前後(仕様によって様々です)。純正は8.8インチ(たぶん)なのでかなりデカくなりました。ナビなど純正機能はそのまま使えて、画面をAndroidに切り替えればそっちもそこそこ純正っぽく使えるという面白い装置です。なお右の画面がみょうに白いのは後述の設定の問題でした。

まずは紹介から。取付時のひと工夫改造と記事は続きます。

純正位置にぴったりはまるカバーパネルに差し込む方式なのでダッシュボードの中身が見えるなんて事もありません。よくできています。ただ強度不足なので振動でディスプレイがゆれます。

画面にはクリアタイプの低反射コーティング保護フィルム(反射光が紫色に見える感じのやつ)が貼られていますがまあまあ反射します。並べると純正には雲の映り込みが全くありません。アンチグレアのフィルムを使うと文字や映像がかすむので汎用品ではこんなもんでしょう。指紋はばっちりつきます。

見た目的にはよく考えられた取付方法でも実際の使用ではリヤウインドウからの光の写り込みが気になります。あと社外ナビのようにディマーで暗くなる機能がありますがそれが思いのほか少ないためまぶしさに敏感な方にはかなり不満でしょう。設定できる最低輝度も高いので手動でも暗くしきれません。スマホの明るさが中設定以上のような方にはきっとどうでもいい内容なんでしょうが、10%以下で使うぼくには割と問題。色味を調整して明るさを下げるAndroidアプリや設定は効果的でしたが、純正ナビ表示は何も変わりません。常に目に入るものなのでディスプレイの明るさに敏感で純正ナビメインの方はこれは買わない方がいいです。難度はさておき対策はできますのでどうしても使いたい方は後述の改造編をどうぞ。

スピーカーとマイク、AUX接続ケーブルが付属しますがNBT車ではどれも車両側のものが使えるため、つけてもいいけど基本的には不要です。CIC車はわかりません。なんせ、ポン付けとはいえ説明書のたぐいが一切付属しない無いもので。あ、取付時には純正光ファイバーケーブル(緑色コネクター)を付属ハーネスに移設することを忘れないでね。

フロントカメラなどを接続できるビデオ入力端子(映像・音声左右)があります。使ってないのでAndroidのアイコンをタッチする以外にどう切り替えるかはわかりません。

電源が入った瞬間からAndroidアプリの起動までにSnapdragon 662モデルで37秒かかります。車両で言えばIGN ONにした時から。起動中も純正iDriveの表示は可能ですが、映るまでにON後2〜3数秒かかります。純正・Androidの切替は、iDriveの [MENU] キー長押は常時、タッチスクリーンだとAndroid起動後に可能です。

OFF後10秒経ってからAndroidのシャットダウンが行われ、その前に再度ONにする場合はすぐ表示再開されますが、シャットダウン開始直後だと再起動が始まるまで十数秒は純正表示も行われず多少不安になります。

WiFi内蔵Androidなので自宅WiFiなどをつかいPlayストアからインストールするアマゾンプライムビデオアプリで予め動画をダウンロードしておくオフライン視聴もできます(アマゾンプライム会員)。これは便利。一般的な16:9のビデオだと画面両端がだいぶ余りますが映画ではこの通り。

今のところランチャーでのアプリアイコンの移動はできず“入れ替え”のみのようです。斬新。アイコンを長押しするとアプリ削除のダイアログが出ますが無視してそのままドラッグアンドドロップ。

内蔵WiFi以外でのインターネット接続はスマホとのWiFiテザリングと、SIMカード(マイクロSIM)を追加しての4Gデータ通信があります。Bluetooth / USBテザリングは不可のようでした。WiFiテザリングの場合も接続操作が必要でいちいちまんどくさいので格安SIMを入れました。複数SIMで通信容量を分け合えるLinksMateで、出張開発用PCとで2枚・2GBの契約にしました。カーナビアプリを使ったりたまにストリーミング音楽を聴くぐらいなら問題なさそう。

SIM(マイクロSIM)の挿入は結構ドキドキで、ロックには奥に4mmほど押さねばなりません。取り出すには押し込んでロックを外してから、針のようなものでかき出すしか無いでしょう(ひどい設計)。スロットと筐体の間にSIMが通る隙間があり斜めに入れるとそこから中に落っこちるので注意。試してませんが隣のマイクロSDカードも同じ感じだと思います。SIMの向きはなとなく違和感ありますがシールの通り。すぐ横の穴はリセットボタンで、SIMを押し出すものではありません。

iPhoneと接続するCarPlay機能(ZLINK5アプリ)もありますがAndroidで事足りるので使ってません。利用する場合、Bluetooth(+WiFi)での接続はなかなか難しいのでまずはUSBでの有線接続をおすすめします。付属の黄色いUSBコネクターを使ってみて下さい(うちでは赤色の方では接続されませんでした)。どういういわけか有線接続時にもAndroidのWiFiが勝手にOFFになります。またiPhoneで [“Hey Siri”を聞き取る] をONにしなければならないようです。ミラーリングもできます。

あまり覚えていませんがAndroidを日本語表示にした後に [設定] – [システム] – [言語と入力] – [言語] で [日本語] を消して [日本語(日本)] にすると日本語入力などいろいろ使い勝手が改善された記憶があります。

先の通りクルマに乗る度に何十秒も待たねばばならいので、結局はカーナビ・音楽再生・通話といった機能は従来通りクルマ側のものを使うことにしました。Androidではビデオ閲覧、ストリーミング音楽視聴、渋滞情報などの調べ物に用いるぐらい。そう書くとイマイチな製品に思えますが、満足度は高いです。

上記を踏まえ工場設定は以下のようにしています。パスワードは 1314 でしたが、通らない場合、こちの投稿に他のパターンも記載されていますので参考にしてください。よくわからない設定項目の説明もあります。最低限 [カーディスプレイ] は設定しないと純正画面がヘンテコ表示です。

レジューム — できる
Bluetoothのオプション — OEM Bluetooth
AUX切り替えモード — 手動 ※1
MAPキーの選択 — OEMカーナビ
カーディスプレイ — 18_EVO(8.8) か 18_EVO_X1(8.8,1280×480) ※2

※1 [自動] だとAndroid側に切り替えたとき車両の音声入力もいっしょに外部AUXに替わりますが、[手動] だとそのままです。車両側に切り替えるときはどちらもそのまま(どこに戻すべきかわからないのでこれは仕方ない)。[自動] の方が多少便利そうですが車両・Androidと行き来するときこれがじゃまなんですよね。プログラマブルボタン(エアコン上の数字ボタン)にお使いの音楽ソース・外部AUXを設定し手動で切り替えるといいでしょう。ただ以前はこの方法でAndroidの音楽を鳴らしながら純正ナビを表示させていましたが、いつのまにかできなくなってしまいました。純正に切り替えると再生が勝手に停止されてしまいます。対策をご存じでしたら教えてください。

※2 車両によります。F10 NBT 8.8″ディスプレイ車の場合 NBT_F48(8.8″,10.25″) を選びたくなりますが、これだと色味がおかしく、画面の上がほんの少し欠けます

取付時のひと工夫(?)

露出したハーネスが振動などでこすれてビビると不快なので、エプトシーラーや純正ハーネスにも使われるテサテープで巻いておくといいでしょう。テサテープのロールは使用後に端を折り返し粘着が無い面を作っておくと次に使いやすいです。

大きいコネクターのロックをつかんで引き込む部分は薄いので、脱着時はレバーの力だけに頼らず、コネクター全体を持って動きをサポートしてやるのが安全です。別のやつ、割ったことあります(涙)。

本体うしろから挿す白いコネクターは反対側に支え的なものが無いため電子基板がそのままたわみます。力でなく、軽くぐりぐりしながら滑らすように入れるといいでしょう。

基板がたわむとサイドのコネクター位置も変わり映像ケーブルが入りづらくなるのでケーブル側コネクターを多少削る必要があるかもしれません。ただうちではそれでもキツかったので超音波カッターでケースの一部をカットしました。あとに載せる内部写真のとおり裏には何もありませんが刃がすべると液晶を傷つける可能性もありおすすめはしません。同様に褒められた方法ではありませんが上の白いコネクターをケーブル側に引っ張ると映像コネクターに余裕が出てくるのでその状態で脱着する手もあります。また単純にこのコネクターは抜くのが難しく、細めと少し細めのマイナスドライバーで周囲をまんべんまくこじるしか思いつきません。今度ハウジングにドライルブを塗ってみます。

ダッシュボードに設置したAndroid用のGPSアンテナがじゃまだなーと思ってたところ純正GPSアンテナ1つを2台のユニットで共有できる分岐ケーブルがあったので購入しました。Aliexpressで$7。ただ接続前にGPSアンテナ用電源出力を測ったところ、F10車両(ヘッドユニット)が5V、Androidが3.3Vと異なっていたので、直結はやめました。

改造

先述のようにディスプレイの明るさを一番低くしても(ぼく的には)夜間まぶしいので、回路を調整してみました。

ケースは全てはめ込み。下側の溝をマイナスドライバーでこじり、できた隙間にカーボンヘラなどを差し込んで外していきます。ツメは横側3カ所ずつ、上下5カ所ずつあります。

基板右下がバックライト制御回路で、2.2Ω(2R2)と1.1Ω(1R10)が並列について合成抵抗が0.73Ωとなっているとこの値を増やすと全体的に暗くなります。計測用に電線をつけている場所。2.2Ωを外して1.1Ωにすると夜は暗めで良い感じでした。たぶん電流3割減になっています。この1.1Ωは人によるはんだ付けだったのでディスプレイサイズなどによって変更されているのでしょう。

ただAndroidディスプレイのディマー機能による減光が足りていないため、夜にあわせると昼は暗いという状況はそのままでした。

さらに調べると、もともと75kΩでつながってる上側にCPUから3.3V 30kHzのPWMでバックライトが調整されていました。デューティー0で最大輝度。ここを常時チェックして下側の部分に再現し、車両通信(CAN)でライトが点いたら好みの暗さまでデューティーを増やす仕組みの装置を作ってみました。このPWMを手抜きしてマイコンの入力端子に直接つないじゃうと、ディスプレイが輝度調整してる状態でオンにしたとき入力に切り替わる前のわずかな出力状態の時間でショートしてディスプレイのCPUが壊れますので注意してください。壊しました(涙)。丸ごと買い直した今は大きめの電流制限抵抗+コンパレーターで受けています。外付け回路なくここの75kΩを小さい値にするだけでもAndroidの輝度調整で暗い側が増えて調整幅が広がると思います。

CANと電源はディスプレイ用ハーネスから分岐しました。配線色は次の通り。黄 : 12V / 黒(黄の横) : GND / 紫 : 車両側CAN-H / 紫黒 : 車両側CAN-L / 緑 : HU(ヘッドユニット)側CAN-H / 緑黒 : HU側CAN-L 。CANはディスプレイで中継されおり、電気的には車両と純正HUは切断された状態です。

どんな感じになったかは次の動画をどうぞ。中で触れてませんがAndroidが起動するまでは無制御状態の最大輝度だったのを、車両電源オフ時の輝度のまま始めるようにしました。

 

■ 変更しました(‘22.01.20)

まずディマーでの減光をやめ、CANID 0x393のByte0がiDriveとメーター向けにどこかの純正ECUが外光により調整した輝度データだったのでこれ利用します。内装照明ダイヤルも考慮されます。0で最低輝度、0xFFでAndroidの設定輝度にすることで、環境によってこの間で自動的に明るさが変わります。

Androidがいくらかでも早く使えるように、ドアを開けるなどでCANが通信を始めた段階でディスプレイ輝度0のバックグラウンドのような状態で起動を始めるようにしました。純正iDriveも実際にはそんな感じです。ただ起動後すぐ音楽が流れるような設定だとそのうち勝手に鳴り出しちとまずいですが使ってないので特に対策しません。Androidが参照する起動・非表示フラグは 0x3A5 Byte0 Bit0 で、非表示のメッセージが10秒ほど連続するとAndroidのシャットダウンが始まります。iDriveまわりの通信が止まるのは、通信開始してIGN ONにならなかった時またはOFFしてから約32秒後(実測)なので、バックグラウンド起動のフラグは20秒後には消さないとそこから10秒必要なシャットダウン指示時間が足りず、数分後の車両電源断で一緒に強制終了となりあんばいよくありません。念のため早めに通信が止まった時には非表示の通信は継続するようにしました。このフラグは純正ディスプレイ表示・非表示用なので勝手な変更でiDrive動作に何らかの影響が出る可能性があります(今のとこ問題なし)。Androidの早期ON/遅延OFFをしたことで、IGNによる急な画面点灯・消灯を、純正のようにふわっとさせられるようにもなりました。

上記を実現するため車両ハーネス-Androidディスプレイ間のCANを切ってその間をブリッジする装置をつくっています。DIYは難しいでしょう。非売品ですが、どうしても欲しいという方には基板を再設計し税込20万円程度でお売りできます。ただ車両持ち込み必須など販売条件はいくつもありますし、自分で言うのもアレですが売価分の価値はないので全くおすすめしません。プロの遊びです。

元のAndroidで設定できないほどの(夜間のぼく好みの)暗さにするとディスプレイ側制御回路の特性なのかバックライトが多少ちらつきます。黒ベースのダークモードであればそう気になりませんが、時間があるときここも作り直したいところですね。

 

次に、ディスプレイの角度がよくありません。もう少し上を向けばリヤガラスの写り込みが無くなり見やすくなるはずです。全体を作り直すのはうちの3Dプリンターのサイズ的にも無理なので、取付部分を格安3Dスキャナーで取り込みそこにかぶせるアダプターをつくりました。

10度程度寝かせたことで反射先が天井となり右のように写り込みが無くなりました。バックミラーの裏側がうっすら見えるので少し寝かせすぎたかも。また視線移動を少しでも減らすため上に1cmほどオフセットさせました。写真だと視界を少々さえぎってますがぼくのポジションだとギリで問題ありません。

3Dデータはこちら(stl)。熱溶解積層(FDM)3Dプリンターを使いABS材、積層ピッチ0.2mm、インフィル50%、モニター取付面を下にしてサポート・ラフトありで印刷しました。長辺は約19cmあります。元のベースは超音波カッターでコネクター穴の拡大と、ネジ止め用の穴(4.5mm)あけをしました。固定は6本の超低頭ネジM4x10にて。こすれ音が出そうなところはテサテープを貼っておきます。

 

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