RECSが効かないBMWエンジンの吸気バルブ洗浄 その2

別記事 [その1] からの続き。エンジンは同じくB58(7シリーズ G11 直6 直噴 走行2.5万キロ)です。

可変バルブリフト機構(バルブトロニック)の吸気バルブは低負荷時にはほとんど開きませんが、オフ時にクランクシャフトを回したところ普通に(かどうかわかりませんが)開いていたので、そこにPITWORKエンジンシステムコンディショナー(低臭気・低煙泡タイプ)を直接吹きつけ洗浄してみました。量販店に必ずあるKUREエンジンコンディショナーでもいいですけど、あの強烈なにおいがにがて。

データシート(SDS)によると成分は、エチルベンゼン 45%、プロピレングリコールモノメチルエーテル 1〜10%、プロパン 1〜10%、グリコールエーテル (分量未記載)、とのことです。

※ このブログは、BMWにRECSは効果がある!という個人やショップの主張・信仰を否定するものではありません

クランクシャフトを回す

BMWのクランクシャフトは特殊工具で回転させます。AliExpressで$20テサテープなどで外径を7〜8mm大きくすると手探りのクランクプーリーの中心探しが少し楽になりました。ただテープを何十周も巻くのはだいぶバカらしかったので3Dプリンターで作るべきでした。

そのクランクプーリーは4本のE型トルクスで止まっています。ボルトの薄いフランジを先の工具でまわします。

手が太いとクランクプーリーボルトまで手が届きません。養生テープは腕の傷防止(遅かったですけど)。工具が斜めにすぐはずれるので手で強く押しつながら作業します。回転方向は前から見て右で、整備書には逆回しするなとありました。アンダーパネルを外し、下から作業した方が楽だったかもしれません。

手持ちの1/2インチ45cm長のラチェットでは上に出る部分がほとんど無かったので塩ビパイプで延長しました。全部のプラグを外し圧縮は無いはずですがそれでも結構重い! ところでこのスナップオンの首振りは(可動部をかなり締め込んでも)フニャってなりやりにくかったので、次回からの作業ではトネの“ロック付き”首振りロングを使っています。それでも結局首振がじゃまだったのでストレートの方がいいと思います。

ノズルは [その1] で使ったPITWORKエンジンリフレッシュ専用ホースの予備を200℃ぐらいに熱し数回に分けて曲げ、それを針金で支えました。元々の噴射口や絞りは切り落とします。缶のヘッド(? 指で押す部分)はこのホースが刺さらないので、ブレーキクリーナーのものを流用しました。缶のチューブとサイズが違うのかこのヘッドは缶に固定されません。

写真のノズルはプラグホール径(たぶん12mm)より大きいので短くカットします。入ったけど出せないということにならないよう少しスカスカぐらいがちょうど。

これとは別に水平噴射のノズルもつくりましたが、洗浄剤がバルブ奥まで届きませんでした。

さらに360°自在回転する内視鏡にシリコンホースを固定しその方向に噴射する方式も試しました。バルブの隙間とかピンポイントで狙えて噴射一発目はかなり良かったんですが、その後カメラがべちゃべちゃで何も見えなくなり終了(涙)。固定のテープが中で落ちるとまんどくさいのと、内視鏡を両手で操作するので一人噴射がムズいという問題もありました。

洗浄

BMWの直6エンジンは1・5・3・6・2・4の順に点火があるようなので、いいあんばいにピストンが降りてて両方の吸気バルブが開いている気筒を内視鏡で探し、クランクシャフトを回しながらこの順に作業していきます。[その1] 記載のとおり一方のバルブは開いている時間が少ないことを気にしておいてください

なおピストンを動かすときは手間でも内視鏡を抜いておきましょう。確認する気筒を間違え潰しちゃうと大惨事です。

燃焼室の確認

洗浄前。写真上が吸気側で、[その1] のように5日前のPITWORKエンジンリフレッシュでわりときれいになってます。

先のノズルをつっこんで180°回転させながら、両吸気バルブの手前や奥に洗浄剤が届くイメージで噴射します。ブラグホールがせまく内視鏡は入りませんでした。一度に大量に噴いても落ちてピストンに溜まるだけなので、今回は6気筒を2周しました。

洗浄剤の浸透を期待し、ごみが入らないようにして放置します。

3時間後。バルブ表面の汚れが剥がれてきているのがわかります。結構厚いのがついてたんですね。内視鏡を変更したため色味が異なっています。

噴射後しばらくは洗浄剤が汚れと反応しているのか小雨が降り見づらいです。

数日走行した後の様子。こんなにきれいになるとは思ってもみませんでした。

バルブの確認

作業前。[その1] で軸・かさは結構きれいになっています。

噴射後のプラグ(噴射ノズル)に近い側は、だいぶ洗浄剤が回ってます。

遠い側に泡はほとんど見られませんが、霧は舞っています。

3時間後。かさ全体が湿ってる感じですかね、一部はデロっとしているようです。

走行数日後。ブローバイなどでテカテカしてた全体がカサカサになりました。そのためきれいになった感がありませんが、ポート奥の一部は汚れが剥がれています。かさは地肌が少し透けてる感じ?

ついでに点火プラグも

外した点火プラグにもエンジンシステムコンディショナーを噴いておきました。接地部の汚れが少し剥がれましたが、だからどうということは無いでしょう。ねじ部はブラシできれいにしておきます。

シリンダーに残った洗浄剤の抜き取り

先の放置中に洗浄剤がクランクケースに落ちきるることを期待していましたがまだまだ残っていたので、簡易ポンプと天然水のペットボトル、ホース類で急きょ吸引器をつくりました。

ただ稼働後すぐボトルがつぶれ、吸引ポンプ配管に汚れた洗浄剤が回りエンジンルームにまき散らして大変でした。炭酸など硬いボトルで作るべきでしたがこれしか無かったんです。それでも洗浄剤は50〜100mlほど回収できました。

おわり

全て組み立て、忘れものが無いか念入りに確認しエンジン始動。特にクランクプーリーを回す工具やレンチが残ってると大事故になりますからね。

スタートボタン最初の1回ではエンジンはかかりませんでしたが、2回目で多少ハンチングしながら始動しました。

白煙対策で始動前にダクトをひいておきましたが、洗浄剤を吸引しておいたおかげで短時間出ただけでした。ただ吹き抜けず大きくモワッと広がりあせったのでので、えんとつ代わりに家屋の雨どいにつなげておけばよかったかもしれません。においはそれほど無く、まわりにある田んぼの野焼きの方がよっぽどくさいので、ご近所迷惑感はあんまり無かったと思います。

走った感じの違いは、あいかわらずわかりませんでした(笑)。

剥がれる汚れがオイルに混じるかはわかりませんが、少なくとも回収していない100ml以上の洗浄剤はクランクケースに落ちてるので、早めにオイル・エレメント交換をするといいでしょう。

今回の方法は、洗浄力は高いものの [その1] と比べ段違いにまんどくさいので、あんまりやりたくないですね。次回は2,3年後の点火プラグ交換時かな。