RECS注入器(点滴)の粒状化確認

BMWエンジンの可変バルブリフト機構“バルブトロニック”はポンピングロスとなるインマニ負圧がほぼありません。BMWにエンジン内部洗浄剤WAKO’S RECSを使用する場合、その少ない負圧でちょっとずつ注入(吸引)されることになります。ただそれで全気筒に果たしてうまく行き渡るものなのか、通常エンジンの負圧と簡易的に比較してみました。

確認器具の準備

RECS注入器(通称、点滴)はヤフオクで出品されている類似品を用いました。RECS洗浄剤は絵の具を溶いた水道水で代用します。

その他、ダイソーの密閉容器に中華製吸引ポンプ、圧力計などを組み合わせ、インマニを簡易的に再現します。

今回のポンプでは容量不足で負圧が維持できなかったため、注入量確認用の管にある空気穴1をテープで塞ぎました。実際にBMWエンジンでRECSを行う場合もそうしないと洗浄剤が吸引されないと思います。

RECS注入器のキモが出口付近に位置するこのタコ管。身体に空気が入らないようにする通常の点滴とは異なり、裏には穴が空けられており、ここから吸われる空気と混合され洗浄剤が粒状化されます。すごいアイデアですね。

負圧の差でこの仕組みにどう違いが出るかが今回のポイントです。

普通エンジンとの粒状化の違い

通常エンジン相当の-60kPa(ポンプと容器の限界)と、BMWエンジン相当-10kPa前後(B58エンジンは無負荷時約-7kPa)での、液剤の出方の違いを動画にしました。

-60kPaでは液剤がびろろーんと細長く広がり粒状化して底面や容器壁面にいくらか分散していますが、-10kPaではボタボタ落ちて同じところに溜まっています。実際のエンジンでこれが各ポートに引っ張られるとき、-10kPaの水たまりから都合良く全気筒に届くとはとても思えません。

ちなみに“RECSが効かないBMWエンジンの吸気バルブ洗浄 その3”のようにバルブトロニックを止めれば負圧は出ますが、それでもインタークーラー内蔵インマニの場合は内部にデカい段差を乗り越えられずかなりの量がターボ側に落ちてしまうことが予想されます。

通常エンジンだとしてもこんな大きな粒状では吸入空気量をかなり増やさなければ均一に行き渡ることはなく、別記事のようなスプレーで霧化させる洗浄剤の方が明らかに効果的。なお液剤自体の洗浄力についてはここでは比較しません。

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